REVIEW

　まずは、ハードエッジで猛スピードな演奏とキャッチーな楽曲で90年代前半東京のみならず世界のパンク/ガレージ界をあっという間に駆け抜けたロックンロールの申し子・TEENGENERATEのドキュメンタリー映画『GET ACTION!!』がめでたくDVD化。それだけでも十分めでたいが、ただめでたいだけでは済まないことになっていたりする。
　通常盤と併せて、初回限定生産の2枚組“SPECIAL EDITION”というのが出る。コレが…DISC1は映画本編99分に映像特典が約103分、そしてDISC2に更なるボーナス映像約272分、合計すると約474分（7時間54分）という…あまりにも非常識なヴォリューム。
　DISC2の特典映像では、映画本編には収録されなかった海外勢のインタヴューに加えて、TEENGENERATE怒涛のライヴ映像を100曲以上、時間にして3時間以上も収録。かなりとんでもない…。

そして、TEENGENERATEのメンバーが今やっているバンドや関連するバンド、そして影響下にあるバンドetc.を収録した編集盤『I don’t like SEX』も同日リリース。単なるサンプラーではなく、全曲がこのオムニバスのための新録または未発表音源というところがミソだ。FifiとFinkの兄弟がそれぞれ現在やっているFirestarterとTHE RAYDIOSはもちろんのこと、同時代を駆け抜けたSUPERSNAZZ（再編TEENGENERATEでドラムを叩いたグレッグ在籍）や、『GET ACTION!!』でコメントしているGUITAR WOLFセイジの実弟・マサハル率いるTHE Thunderrorads、ROCKBOTTOM、ボロキチ、THEEE BAT、そしてCarCrashや金沢のBeat Generationといった若手注目株も。
海外勢も豪華だ。THE ZEROSの未発表音源やThe Young Flesh Fellowsの新録、更にTEENGENERATEのバンド名の元になったThe Dictatorsアンディ・シャーノフによる「Teengenerate」の新録、そしてTEENGENERATEの代表曲のひとつ「My GTO」の、作曲者The Devil Dogsによる幻のオリジナル・ヴァージョンまで収録（←コレは事件だ）。
監修はTEENGENERATEの『LIVE AT SHELTER』（コレもこの度再発！）をリリースしたTARGET EARTHの中上マサオ氏（『GET ACTION!!』にも出演）。

　更に同日、『GET ACTION!!』とは直接関係ない北アイルランドのパンク・シーンを捉えた映画『シェルショック・ロック』までDVD化される。キングレコード、無駄に攻めてます。コレは2012年に今は亡きシアターN渋谷で公開された時と同様、『プロテックス－ハラー』と『セルフコンシャス・オーバー・ユー』を併せて収録し、ジョン・T・デイヴィス監督による“北アイルランド・パンク映画3部作”が101分に渡って堪能出来るパッケージになっている。
　1979年の北アイルランド・パンク・シーンをドキュメントした『シェルショック・ロック』での、若き日のSTIFF LITTLE FINGERSやTHE UNDERTONESのライヴとか。PROTEXのアメリカ・ツアー（80年）の一瞬を切り取った『プロテックス－ハラー』での、ニューヨークの街でだらしなくはしゃぐPROTEXの連中がステージでは一転してやたらカッコいい、とか。80年のOUTCASTSのライヴとその周辺を映し出す『セルフコンシャス・オーバー・ユー』での、徐々に混沌を極めて行くステージの模様とか（『シェルショック・ロック』にも登場する北アイルランドのパンク・レーベルGOOD VIBRATIONSのオーナーが大活躍？）…80年前後の北アイルランドの若きパンクスどもの熱気を余すところなく映像化。

　実際のところ『シェルショック・ロック』の劇場公開にあたってはFifiの経営するロック・バー「ぷあかう」で記念イヴェントが開催されたりもしているので、『GET ACTION!!』とまるっきり無関係なワケではないのだった。ともあれDVD2作にCD1枚…TEENGENERATEに限らず、パンクやガレージを愛するすべての若き野郎どもにお勧めします。