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ピーター・フォンダ初監督・主演『さすらいのカウボーイ』初BD化

ピーター・フォンダ初監督・主演『さすらいのカウボーイ』初BD化

この度、『イージー★ライダー』(69)の製作・主演、ピーター・フォンダが1971年に発表した初監督作、『さすらいのカウボーイ』(71)が2月5日(水)に国内初ブルーレイ化/DVD再発売にて発売となることが決定いたしました。

自由を求め、妻と娘を捨て旅立った男が、7年間におよぶさすらいの果て、放浪を共にしてきた親友を伴い家に戻る決意をする。突然の夫の帰還をすんなり受け入れない妻のもと、使用人―hired hand-として真面目に働くことで、少しずつ夫としての信頼を取り戻してゆく。だが、それは一方で友との別れを意味していた・・・・・・。

1966年、全米に吹き荒れたバイカー映画ブームを作り出したパイオニア的作品『ワイルド・エンジェル』で、クールで凶暴なモーターサイクルギャングのリーダーを演じ、1967年には当時全米に広がりを見せていたLSDなどのドラッグ・カルチャーを描いた『白昼の幻想』にデニス・ホッパーとともに出演、そして1969年、約37万ドルの製作費で約7,000万ドルの興行収入を稼ぎ出し、ハリウッドの常識をすべて覆したモンスター・フィルム『イージー★ライダー』をデニス・ホッパーとともに作り出したピーター・フォンダ。その成功により一挙にカウンターカルチャーの象徴、カリスマ的スターとなったフォンダが2年後の1971年、念願の初監督作として撮り上げたのが本作『さすらいのカウボーイ』だ。
さすらいのカウボーイメイン (2)

ウェスタンというジャンルにもかかわらずあまりに斬新なテーマ、徹底してリアリズムを追求したディテール、空前絶後のオーバーラップやスローモーションを駆使した映像などは、『イージー★ライダー』の再来を期待していた配給元=ユニバーサルにとっては理解を超えたものだった。結局、ユニバーサルに理解されず不本意な公開を余儀なくされた本作は、静かにその姿を消した。その後は本国アメリカはもちろん日本においても、ズタズタに編集され物語もまったく異なるものに変えられたバージョンがたまにTV放映される程度で、完全に葬り去られたかに思えた。しかし一部の人々からは圧倒的支持を受け、伝説の映画として語り継がれるようになっていった。日本では巨匠・市川崑監督のほか、多くの評論家から公開当時生涯ベスト1に挙げられ、本国アメリカではクエンティン・タランティーノやマーティン・スコセッシなどの大物が本作を絶賛した。

共演には本作出演後、長年にわたってピーター・フォンダの親友となり、ともにモンタナのパラダイス・バレーに住んでいたというウォーレン・オーツ。サム・ペキンパー監督やモンテ・ヘルマン監督作品にはかかせない60年代~70年代の名優である。そして撮影には『未知との遭遇』でアカデミー賞受賞のヴィルモス・ジグモンド、美術に『ブレードランナー』のローレンス・G・ポール、音楽にボブ・ディラン作曲の「ミスター・タンブリンマン」のモデルとなったフォーク・ギターの名手ブルース・ラングホーンなど、本作はのちに超一流となる若手・新人スタッフ・キャストによって生み出された。初公開から30年を経た2001年、編集担当のフランク・マゾラと製作のウィリアム・ヘイワード、そしてピーター・フォンダによっていっさいの無駄をそぎ落とす形でディレクターズ・カット版として復活、2001年ベネチア映画祭を皮切りに、各映画祭で上映され大喝采を浴びる。ここ日本でも劇場公開され8週間のロングランヒットを記録した。

この度国内初ブルーレイ化となる本作のマスターは、ディレクターズ・カット版をベースに2箇所/約28秒のシーン追加、2箇所の台詞の追加、そしてディレクターズ・カット版に存在したディレクターズ・カット版制作に関するエンドクレジットを削除した新バージョン。ブルーレイには元のディレクターズ・カット版本編のほか日本でのTV放映版本編、削除シーンなど200分以上の映像特典が収録される。また同時発売のDVDも新バージョンの本編とピーター・フォンダのインタビュー映像が収録される。

今年は『イージー★ライダー』の製作からちょうど50年。そんな節目の年にピーター・フォンダは8月、この世を去ってしまった。享年79。ちょうどアメリカで『イージー★ライダー』50周年を記念したコンサート+上映イベントを企画していた最中だった。そんなピーター・フォンダが最も魂を込めて世に放ち、最も思い入れの強かった作品がこの『さすらいのカウボーイ』。以前来日した際に市川崑監督に褒められたことを誇りにしていた。また今年は双子のような作品であり、『さすらいのカウボーイ』とまったく同じ運命を辿ったデニス・ホッパーの『ラストムービー』(71)が12月20日より新宿シネマカリテほかにて約30年ぶりの公開も控えている。『イージー★ライダー』の劇中で見られるピーター・フォンダ演じるワイアット、デニス・ホッパー演じるビリーのキャラクターがそのまま滲み出たのがそれぞれの次作であり監督作となった『さすらいのカウボーイ』と『ラストムービー』。両作品を観比べつつ、『イージー★ライダー』を鑑賞すれば、フォンダとホッパーの人間性が浮かび上がってくる。


【作品詳細】
Blu-ray:http://kingmovies.jp/library/kixf-658
DVD:http://kingmovies.jp/library/kibf-1690

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『ラストムービー 』
1971年|アメリカ映画|カラー|ヴィスタサイズ 1:1.85 |DCP|108分|原題:THE LAST MOVIE
監督:デニス・ホッパー
製作:ポール・ルイス 撮影:ラズロ・コヴァックス 脚本:スチュワート・スターン
出演:デニス・ホッパー、ジュリー・アダムス、ロイ・エンジェル、サミュエル・フラー、ピーター・フォンダ、ミシェル・フィリップス 、 クリス・クリストファーソン
◆キングレコード提供 ◆コピアポア・フィルム配給
公式サイト:dennis-hopper-2019.com        ©1971 The Hopper Art Trust, 2018 Arbelos
12月20日(金)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
TLM_B5_N4-4-Y1 映画撮影のために南米ペルーの村に赴いたスタントマン、カンザスは、撮影後ドラッグに溺れ、放蕩にふけるうち、映画作りを模した村での奇妙な儀式に巻き込まれる。やがて虚構と現実の境目を飛び越えためくるめく世界へと突入するが―。
インディペンデント映画史上空前の興行収入を叩き出した初監督作『イージー★ライダー』でカンヌ映画祭・新人監督賞受賞、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされ一躍時代の寵児となったデニス・ホッパーが、最終編集権を含む完全なクリエイティヴの自由を得て念願の企画を映画化した渾身の監督第二作。当時ユースカルチャー市場を取り込むために、予算100 万ドル以内で監督に最終編集権を保証するかたちでピーター・フォンダの『さすらいのカウボーイ』(71)、モンテ・ヘルマンの『断絶』(71)、ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』(73)とともにユニヴァーサルが製作した一本である。脚本はホッパーが兄貴と慕ったジェームズ・ディーン主演の名作『理由なき反抗』(55)を書いたスチュワート・スターン。ホッパーは次第に正気を失い狂気に陥る主人公カンザスを自ら演じ、ベテラン女優ジュリー・アダムス、映画監督のサミュエル・フラー、先日惜しくも他界した盟友ピーター・フォンダ、ロックの殿堂入りも果たしたママス&パパスのミシェル・フィリップス、本作の音楽も手がけたシンガーソングライターのクリス・クリストファーソンなど錚々たる面々が共演した。だが編集作業が1年にわたるという狂気に満ちたその創作は混迷を極め、1971年ヴェネツィア国際映画祭で好評を博すものの、難解な内容と前衛的な構成に困惑したユニヴァーサルのトップの再編集指示をホッパーが 断固拒絶、映画は短期間での公開後ほぼお蔵入りとなった。この騒動でハリウッドから干されたホッパーは酒とドラッグに溺れ、映画監督としてはその後約10年間の空白期間を迎えることとなった。本作は1971年当時ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの三都市で小規模の上映が行われたが、昨年のリバイバル公開まで全米で公開されることはなく、日本では1988年、当時アメリカ国外で初めて劇場公開されるもその後のVHS 発売以降一度もDVDやブルーレイ化、テレビ放送もなされていない。映画作りをめぐる物語を幻想的に描き出した本作は、俳優、映画作家、写真家として活躍するハリウッドの異端者デニス・ホッパーだからこそ作れた過激な芸術映画。複雑なプロットや大胆な編集方法で当時のハリウッドを驚愕させたこの失われた傑作が、『イージー★ライダー』製作50周年にあたる本年、スクリーンによみがえる!


『デニス・ホッパー/狂気の旅路』
2017年 |アメリカ映画 |カラー |16:9|DCP|101分 |原題: ALONG FOR THE RIDE
監督:ニック・エベリング
製作:ニナ・ヤン・ボンジョヴィ、シェリー・アン・ティンモンズ 出演|デニス・ホッパー(アーカイブ映像)、サティヤ・デ・ラ・マニトウ、デヴィッド・ホッパー、ステラ・ガルシア、ジュリー・アダムス、フランク・ゲーリー、ヴィム・ヴェンダース、デヴィッド・リンチ 、 エド・ルシェ、ジュリアン・シュナーベル
公式サイト:dennis-hopper-2019.com ALONG FOR THE RIDE LLC, © 2017
12月 20 日(金)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
AFTR_B5_7-2
フランシス・F ・コッポラ、デビット・リンチ、ヴィム・ウェンダース、ジェームズ・ディーン、ピーター・フォンダ、ジャック・ニコルソン、ショーン・ペン…一流の監督や俳優に、その才能と人柄を愛されながらも、ハリウッドから追放された 異端児にして、70年代以降のアメリカを象徴するアーティスト、“デニス・ホッパー”狂気の半生
2010年に亡くなったデニス・ホッパーは、その破天荒さと無謀さで、ハリウッドを追放されたアメリカの問題児にして異端者、そしていくつもの顔を持つ男で
もあった。ジェームズ・ディーンの後継者とも言われた 、危うげな魅力を放つ個性派俳優としてデビューし、 初監督作『イージー★ライダー』(69)で『俺たちに明日はない』(67)と並んでアメリカン・ニューシネマを牽引し時代の寵児となった後、二作目『ラストムービー』(71)ですべてを失った男。本作は、デニス・ホッパーの大ファンだったニック・エベリング 監督が、70年代初頭から約40年にわたりホッパーの右腕だった男サティヤ・デ・ラ・マニトウを中心に、数々の知人たちの証言、そして自らが渉猟した貴重な未公開映像をもとに構成したドキュメンタリーである。
映画は、1969 年、『イージー★ライダー』の熱狂から幕を開ける。その熱を引きずりながらホッパーは次作『ラストムービー』の製作にのめり込むが、完成した
映画は、難解な内容だと製作元に拒絶される。大きな絶望を味わったホッパーは、酒とドラッグと暴力に溺れ、家庭生活も仕事もすべてを破綻させていく。だが 、70 年代後半からフィリップ・モーラ監督『デニス・ホッパーの マッド・ドッグ・モーガン/賞金首』(76)、フランシス・ F ・コッポラ監督『地獄の黙示録』(79)等に出演。そして監督作も『アウト・オブ・ブルー』(80) 、ショーン・ペンが主演した『カラーズ 天使の消えた街』(88)などを手掛け、80年代以降、俳優、監督として徐々にキャリア復活の兆しが見え始めるーー。 本作では、その経緯を、 実の弟デヴィッドから、『アメリカの友人』(77)で彼を起用したヴィム・ヴェンダース、『ブルーベルベット』(86)で俳優デニス・ホッパーの再評価を決定 づけたデヴィッド・リンチ、交流の深かった俳優マイケル・マドセン、『ラストムービー』で共演したジュリー・アダムス、 画家で映画監督でもあるジュリアン・シュナーベルや 建築家のフランク・ゲーリーら多くの友人知人が出演し証言する。また、アンディ・ウォーホルをも魅了した名写真家であり、無類の美術愛好家であった姿も映し出す。映画監督/俳優/写真家/アートコレクターとしてのデニス・ホッパーが旅した道のりと、映画史において彼の果たした役割をたどる本作。これは、 70 年代以降にアメリカが経験した一つの時代の証言であるとともに、波 瀾に満ちた生涯を歩み、不器用なほどまっすぐに芸術を追い求めた一人のアーティストの愛すべきポートレイトともいえる。