NEWS

『2001年宇宙の旅』以前― 1963年誕生、奇蹟のSF映画『イカリエ-XB1』初ソフト化。

『2001年宇宙の旅』以前― 1963年誕生、奇蹟のSF映画『イカリエ-XB1』初ソフト化。

この度、70mmフィルムのニュープリント版とIMAX版の上映、8Kテレビ放送など製作50周年を経た今もなお話題となるSF映画の最高峰、『2001年宇宙の旅』に影響を与えたといわれる奇蹟のSF映画『イカリエ-XB1』が12月26日に国内初ソフト化されることが決定いたしました(レンタル同日開始)。 

共産主義下のチェコでつくられた初の本格的SF映画にして、その後のSF作品に多大な影響を与えた先駆的作品!
00_main
冷戦時代の1963年にチェコで初めてつくられた本格的SF映画『イカリエ-XB1』は、密室の中で徐々に狂気に汚染されていく乗組員たちのサスペンスフルな人間ドラマと、近未来のユートピア的世界を独創的なスタイルで描き出した。そのオリジナリティ溢れる世界観は、『2001年宇宙の旅』(68/スタンリー・キューブリック監督)にもインスピレーションを与えたと言われている。キューブリックの個人アシスタントによると、同作の製作準備の段階でキューブリックは参考になりそうな作品を片っ端から鑑賞しており、その中でも『イカリエ‐XB1』に関してはテーマと表現を高く評価しており、実際に宇宙服や宇宙船内部の照明などのデザイン、地球に残していた家族とのテレビ電話での交信、宇宙船内での乗組員たちの日常生活の描写、そして「探索旅行」というテーマなど両作の類似点は多い。また、乗組員たちが調和しながら協働する様子はSFドラマ『スタートレック』(66~69)にも影響を与えたといわれている。
1963年から1964年にかけてチェコ国内で公開され、51万人以上を動員し大ヒットとなった。本作が製作された1963年は、ミロシュ・フォルマン(『火事だよ!カワイ子ちゃん』)、イジー・メンツル(『厳重に監視された列車』)らに代表される《チェコ・ヌーヴェルヴァーグ》が本格的に幕を開けた年。本作にも、その重要人物たちが多数参加している。『惑星ソラリス』(72/アンドレイ・タルコフスキー監督)および『ソラリス』(02/スティーブン・ソダーバーグ監督)、『コングレス未来学会議』(13/アリ・フォルマン監督)の原作を手掛けた20世紀SF最高の作家の一人、スタニスワフ・レムの小説『マゼラン星雲』にインスピレーションを受けて脚本を執筆したのは、『ひなぎく』(66)の脚本に協力したパヴェル・ユラーチェク。衣裳デザインのエステル・クルンバホヴァーも、『ひなぎく』『パーティーと招待客』(66)などを手がけ《チェコ・ヌーヴェルヴァーグのミューズ》と呼ばれた重要人物。音楽は、ヤン・シュヴァンクマイエルやカレル・ゼマンのアニメーション作品で知られるズデニェク・リシュカ。監督のポラークは、子ども向けの人気シリーズ映画を始め、特撮映像作品を多く手がけ、チェコでは著名な映画監督。本作は、SF映画という独特の位置にありながらも、チェコ・ヌーヴェルヴァーグの潮流をたしかに感じさせる作品である。
なお2016年に4K修復され、同年カンヌ国際映画祭カンヌ・クラシック部門で脚光を浴びたデジタル・リマスター版で2018年5月、日本で劇場初公開となった。 SF映画の最高傑作に先駆けた本作の魅力に、ぜひ注目してほしい。

【作品詳細】
Blu-ray: http://kingmovies.jp/library/kixf-590
DVD: http://kingmovies.jp/library/kibf-1608