機銃が虚空に火を吹く―巨大な暗黒組織に挑んだ孤独な男女の凄絶な死斗

ジョン・カサヴェテス主演の傑作ハードボイルドが公開から50年を経て初ソフト化！！

【introduction】
ジョン・カサヴェテス、ピーター・フォーク、ジーナ・ローランズ共演によるバイオレンス犯罪アクション（英語題は「マシンガン・マッケイン」）。監督はイタリア移民の冤罪事件を映画化した『死刑台のメロディ』(71)で知られる異才ジュリアーノ・モンタルド。アメリカ西海岸サンフランシスコを舞台に、マフィア組織が経営するカジノから金を強奪した男女の逃走を描く。クールなキャラクター、スタイリッシュな演出、ドライなタッチで展開するストーリー、ゲリラ撮影でのハードなカーチェイスも盛り込まれ、画面からは緊張感があふれ出る。破滅へと向かってゆくカサヴェテスの鬼気迫る演技に目が離せない。原作は長年にわたりマフィアを取材してきたジャーナリスト、オヴィッド・デマリスの小説『Candyleg』(61)。出演には他にコケティッシュな魅力のスウェーデン人女優ブリット・エクランド、ミケランジェロ・アントニオーニ『情事』の名優ガブリエル・フェルゼッティ。エンニオ・モリコーネの音楽も秀逸でサウンドトラック盤も人気がある。監督のジュリアーノ・モンタルドはイタリアでデビュー(『アルジェの戦い』ではアクション監督を務めている。)するとアメリカへ渡り、ジャネット・リー、エドワード・G・ロビンソン、クラウス・キンスキーらを配した『盗みのプロ部隊』(’67)を撮って、世界的ヒットを収める。その成功から、新たにカサヴェテスを主演に起用して本作を撮り、カンヌ国際映画祭パルムドールにノミネートされた。他の監督作にベン・ギャザラ、バート・ランカスター共演『戦慄の黙示録』(87)、ニコラス・ケイジ主演『エネミー・ウォー』(91)、近年にはドストエフスキーを描いた「サンクトペテルブルクの悪魔たち」(08)、「企業家」(11)がある。俳優としても活躍しており、2017年のイタリア映画祭で上映された『君が望むものすべて』で演じた老人役が記憶に新しい。

【story】
かつて銀行強盗で逮捕され服役していたマッケインが、12年の刑期を終え、出所する。息子のジャックが出迎えるが、早々にラスベガスのホテルにあるカジノの金庫を強奪する計画を聞かされる。この計画の背後にはチャーリーというマフィアの存在があった。チャーリーは巨大マフィアのカリフォルニア支部を任されていたが、勢力拡大を狙って、組織に無断でラスベガスへの進出を計っていた。チャーリーはホテル・ロイヤルの支配人を脅迫し、手中に収めようとしたが失敗。次にホテルが経営するカジノの金庫を襲うことを考え、ジャックを利用し、マッケインに強奪を実行させるように仕組んだのだった。一方マッケインは、この計画が息子の考えたものではないと感づいていたが、強奪計画の準備を進めていた。彼はバーで知った若く美しい女性アイリーンを愛し、アイリーンはマッケインのパートナーになってゆく。その頃、マフィアのボスであるドン・サルヴァトーレは自身がオーナーであるホテル・ロイヤルの支配人から、チャーリーの脅迫を知り、チャーリーのもとへ部下を遣わせる。問い詰められるチャーリー。彼はすぐにカジノ襲撃計画を止めさせるため、ジャックを殺害。マッケインにも手が伸びるが、逃げたマッケインはアイリーンとともに襲撃を実行、カジノを爆破し金庫から大金を奪う。組織ではチャーリーの妻ジョニーが密告したことから、カジノ襲撃がチャーリーの計画であったことが判明、チャーリーと部下のデュークを処刑する。そして大金を強奪したマッケインの抹殺を殺し屋に命じる。殺し屋から追われるマッケインとアイリーンは必至の逃亡を企てるのだった。